石川 奈美 のワンポイント美肌養生アドバイス 
大人のアトピー性皮膚炎のスキンケア
 1、アトピー性皮膚炎は慢性に経過する皮膚の疾患です。
 2、症状はこのように経過します。
 3、アトピー性皮膚炎の好発部位(思春期成人型の場合)
 4、アトピックドライスキンの状態
 5、アトピー性皮膚炎ではこのような合併症が起こります。
 6、かゆみの連鎖
 7、治療はこのように進められます。アトピー性皮膚炎の診断基準。
 8、アトピー性皮膚炎の薬物治療は対症療法が原則となります。
 9、原因悪化因子
10、なちゅれいゆでのアトピー性皮膚炎対応スキンケア




1、アトピー性皮膚炎は慢性に経過する皮膚の疾患です。

●アトピー性皮膚炎の概念

 「アトピー性皮膚炎は憎悪・寛解を繰り返す、そう痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持っています。」

 
 アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)は慢性に経過する痒みの強い皮膚の湿疹病変で、良くなったり悪くなったりを繰り返す皮膚疾患です。

 アトピー性皮膚炎はアレルギー性疾患のひとつであり、アトピー素因(遺伝的体質)を持つ人に多く見られます。

アトピー素因とは、

@ 気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎の何れか、あるいは複数の疾患の   家族歴、既往歴がある。または、
A IgE抗体を産生しやすい素因を持つことです。


 ほとんどは成人するまでに治りますが、最近では成人後まで長引いたり、成人してから再燃または発症するケースが増えています。

 アトピー性皮膚炎の発症には、大きく2つの要素が関係しています。

 遺伝的にアレルギー反応を起こしやすい「アトピー素因」、そして「アトピックドライスキン」と呼ばれ、バリア機能の異常や保湿力の低下を起こす「皮膚の生理的異常」です。

 さらに、環境因子として、様々なアレルゲンや外からの刺激、ストレスなどが加わり発症します。


アトピー発症機序図
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2、症状はこのように経過します。

 アトピー性皮膚炎の主な症状は、「皮膚の炎症(赤み)」、「皮膚の乾燥(かさかさ)」、「かゆみ」です。

 年齢によって症状や発症部位は異なりますが、アトピー性皮膚炎の患者さんが最も苦しめられる症状は「激しいかゆみ」です。

 かゆみは、患者さんの日常生活の質(QOL)を損なうだけでなく、掻破することで病変が悪化し、さらにかゆみが増す、という悪循環が起こります。

 湿疹は顔や首、肘のくぼみや膝の裏に現れやすく、左右対側制に生じる特徴があります。

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3、アトピー性皮膚炎の好発部位(思春期成人型の場合)

 成人の場合、発疹は上半身(顔面、上胸部、上背部、肘窩など)に強くあらわれる傾向があります。顔の赤みが取れなくなり、独特の赤ら顔になることも。



アトピー体図好発部位

                                                 
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4、アトピックドライスキンの状態。

 通常、皮膚の表皮の一番外側に存在する角層(角質層)は、外界のアレルゲンや細菌、ウイルスなどの異物の侵入を防ぐ防御機構(皮膚のバリア機能)としての働きがあります。

 それだけでなく、体内から水分が逃げるのを防ぐ保水の役割をしていて、皮膚が乾燥するのを防ぎ、水分を保持して健康な肌を作る手助けをしています。




 角層の細胞は、表皮の一番下の基底層という層で作られ、28日かけて分裂しながら一番表面に上がり、2週間とどまって役目を終えます。

 やがて死んだ角質細胞は垢となって剥がれ落ちます。これを表皮(皮膚)のターンオーバーと言います。

 アトピックドライスキンの肌と健常な人の肌とは、このターンオーバーが異なり、そのせいでこの角層に大きな違いが現れます。

 角層の水分保持機能が正常に働き、皮膚が健康な状態に保たれるためには、

 ○角質細胞間脂質
(セラミドと呼ばれ、角質細胞の細胞と細胞の間のつなぎの役割をしています)

 ○天然保湿因子
(NMF Natural Moisturizing Factor と呼ばれ角質細胞の中に含まれ肌をしっとりさせています)

 ○皮脂と汗
(毛穴の皮脂腺から皮脂が分泌され、汗腺から出る汗と混じり合って、天然のクリームとなり、肌の最表面で皮脂膜となります。)

これらの三つの因子が重要な役割を果たしていますが、アトピックドライスキンの状態では、

★セラミドの減少により細胞の間に隙間ができる、

★NMFの減少で細胞自体の保水力がない、

★皮脂や汗がうまく出ず皮脂膜が作られない、

といった状況が複合的に起こっています。




 このためバリア機能が正常に働かず、刺激に弱い肌が作られてしまっているのです。

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5、アトピー性皮膚炎ではこのような合併症が起こります。

 アトピー性皮膚炎の皮膚はバリアー機能が低下しており、ウイルスや細菌が感染しやすい状態にあるため、次のような皮膚の感染症が起こりやすくなります。

 これらの感染症を予防するためには、皮膚を清潔に保つスキンケアを怠らないことと、湿疹の治療をしっかり行うことが重要です。

○カポジ水痘様発疹
(原因)単純性発疹(単純ヘルペス)ウイルス
(症状)顔面頭部を中心に小水泡が多発拡大します。小水泡はすぐに破れて直径1〜2mmのクレーター状になります。
(治療)抗ウイルス薬を使用します。

○伝染性軟属腫(みずいぼ)
(原因)伝染性軟属腫ウイルス
(症状)光沢のある直径数ミリ程度の半球状の丘疹が生じ、大きいものは中央部がやや陥没しています。
みずいぼのなかには白いかゆ状のもの(ウイルスの塊)がたまります。
湿疹に合併するとかゆくて掻破するため、さらに周囲に感染していきます。
(治療)いぼをとる、感染を防ぐ

○伝染性膿痂疹(とびひ)
(原因)黄色ブドウ球菌、溶血性レンサ球菌などの化膿菌
(症状)水泡を生じ、膿疱、びらん、かさぶたとなり、周囲に次と皮疹が「飛び火」していきます。
(治療)抗菌薬を使用する


○白内障、網膜剥離など
(原因)顔面のかゆみに対して眼部をたたいたりこすったりすることで起こります。
(症状)視力が低下します。
(対策)眼症状を予防するためには、眼部を叩いたり、擦ったりしないようにします。

アトピー性皮膚炎では顔面、特に眼のまわりの症状が強い場合、眼部をたたいたりこすったりするため、白内障や網膜剥離が起こることがあります。顔面の症状が強い場合は、視力低下などの症状がなくても定期的に眼科医の診察を受けるようにします。アトピー性皮膚炎に合併する白内障は「アトピー性白内障」と呼ばれます。アトピー性皮膚炎の約10%に若年性の白内障が併発することが報告されています。                                                   
また、眼瞼へのステロイド外用剤による緑内障の発症にも注意が必要です。

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6、かゆみの連鎖
 
痒みの神経が伸びている??
 
アトピー性皮膚炎の表皮では、ケラチノサイト(表皮角化細胞)から分泌されるNGF(神経成長因子 nerve growth factor)が増加しており、このNGFがかゆみを伝える神経を成長させるため、通常は表皮の奥にあるかゆみ神経(C線維)が、表皮の中にまで不規則に伸びており、かゆみに敏感に反応することがわかっています。



 さらに、掻くなどの皮膚刺激によって、痒みの伝達物質であるケミカルメディエーターも、より活性化され、ヒスタミンやロイコトリエン、プロスタグランジンなどの物質を遊離し、炎症を引き起こします。

 掻く事で、痒み神経はさらに敏感になる→皮膚を掻き壊してバリア機能を低下させる→また炎症を起こし痒くなる→ますます掻く、といったように、痒みの連鎖が起こってしまいます。

 また熱を持つと炎症はさらに進むため、お風呂上がりや布団に入った時には、より痒みを感じます。

 自律神経の働きで、副交感神経が優位でリラックスしている時ほど、抑制が取れて痒みを強く感じることも多く、心理的な痒みの増強が起こります。

 私たちの身体の中では、炎症や痒みを抑えてくれる副腎皮質ホルモンが分泌されますが、この副腎皮質ホルモン分泌には、日内変動があり、深夜が最も低く、朝が高いために、寝ている間に掻いてしまうことも多いようです。
                                                   
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7、治療はこのように進められます。アトピー性皮膚炎の診断基準

 厚生科学研究班のガイドラインによると、アトピー性皮膚炎の診断・治療は下図のようになります。



アトピー性皮膚炎の診断基準

1.そう痒

2.特徴的皮疹と分布
 @皮疹は湿疹病変
    ●急性病変:紅斑、湿潤性紅斑、丘疹、漿液性丘疹、鱗屑、痂皮
    ●慢性病変:浸潤性紅斑・苔癬化病変、痒疹、鱗屑、痂皮
 A分布
    ●左右対側性
    好発部位:前額、眼囲、口囲、口唇、耳介周辺、頸部、四肢関節部、体幹
    ●参考となる年齢による特徴
    乳幼児        :頭、顔にはじまりしばしば体幹、四肢に下降。
    幼小児期      :頸部、四肢屈曲部の病変。
    思春期・成人期   :上半身(顔、頸、胸、背)に湿疹が強い傾向。

3.慢性・反復性経過(しばしば新旧の皮疹が混在する)
     乳児では2カ月以上、その他では6カ月以上を慢性とする。

上記1、2および3の項目を満たすものを、症状の軽重を問わずアトピー性皮膚炎と診断する。

そのほかは急性あるいは慢性の湿疹とし、経過を参考にして診断する。

除外すべき診断 (合併することもあります)
  ●接触皮膚炎      ●汗疹
  ●脂漏性皮膚炎     ●魚鱗癬
  ●単純性痒疹      ●皮脂欠乏性湿疹
  ●疥癬           ●手湿疹(アトピー性皮膚炎以外の手湿疹を除外するため)
  ●皮膚リンパ腫     ●乾癬
  ●免疫不全による疾患 ●膠原病(SLE、皮膚筋炎)
  ●ネザートン症候群  

診断の参考項目
  ●家族歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎)
  ●合併症(気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎)
  ●毛孔一致性丘疹による鳥肌様皮膚
  ●血清IgEの上昇

臨床型(幼小児期以降)
  ●四肢屈側型           ●痒疹型
  ●四肢伸側型           ●全身型
  ●小児乾燥型           ●これらが混在する症例も多い
  ●頭・頸・上胸・背型

重要な合併症
  ●眼症状(白内障、網膜剥離など):    ●伝染性軟属腫
    とくに顔面の重症例            ●伝染性膿疹
  ●カポジ水痘様発疹症


(厚生労働科学研究班アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2008より引用)

                                                  
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8、アトピー性皮膚炎の薬物治療は対処療法が原則となります。

アトピー性皮膚炎の治療
 
 治療の目標は、患者を次のような状態に到達させることです。

1)症状はない、あるいはあっても軽微であって日常生活に支障がない、薬物療法もあまり必要としない。

2)軽微ないし軽度の症状は持続するも、急性に悪化することはまれで悪化しても遷延することはない。

アトピー性皮膚炎は遺伝的素因を含んだ多病因性の疾患であり、疾患そのものを完治させうる薬物療法はない。よって対処療法を行う事が原則となります。

炎症に対する外用療法

 現時点で、アトピー性皮膚炎の炎症を十分に鎮静する薬剤で、その有効性と安全性が科学的に立証されている薬剤は、ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏(Topical calcineurin inhibitor カルシニューリン阻害外用薬)です。
その他の外用薬では、非ステロイド系消炎外用薬(NSAID外用薬)がありますが、抗炎症作用は極めて弱く、接触性皮膚炎を生じることがまれではなく、その適応範囲は狭いとされています。

 ステロイド剤のランクや副作用、タクロリムス軟膏については、子供のアトピーのスキンケアを参照下さい。
      
 紫外線療法は、アトピー性皮膚炎における付加的治療法の一つで、従来アトピー性皮膚炎に対して、PUVA療法、UVA1療法、ナローバンドUVB療法、UVB療法、UVA+UVB療法、UVA1+ナローバンドUVB療法などが有効であるとされています。
ただし、国内ではとりわけ、ステロイド外用薬を用いた治療に反応しない例や、従来の治療でd副作用を生じている例に有用とされています。
各施設において様々なバリエーションがあります。紫外線療法を行う場合には、適用や対処法を十分理解して、器具に習熟した医師により慎重に行われる必要があります。

                                             
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9、原因悪化因子


原因、悪化因子除去

 乳幼児を過ぎると主に環境因子(ダニ、ハウスダストなど)が悪化因子となります。
 
 その他全ての年齢層で洗剤類や外用薬を含めた接触因子、ストレスなども悪化因子となります。

 皮膚炎の原因、悪化因子を見つけ出し対処していくことが大切ですが、悪化因子(アレルゲン)の関連性は臨床症状や血液検査のみで判断するのではなく、病歴、血液検査、皮膚テストなどを参考に、可能であれば除去試験や負荷試験を行って判断します。 

 除去が可能であればしますが、これのみで完治が期待されるものではないことを認識すべきであるとされています。

 アレルゲンを明らかにしても、本疾患が多因子性の要因を持つため、アレルゲン除去はあくまで薬物療法の補助療法であり、これのみで完治が期待されるものではないことを認識する必要があります。

 成人の重症例では、人間関係、多忙、進路葛藤、自立不安などの心理社会的ストレスが関与し、嗜癖的あるいは依存症とも呼べる掻破行動が生じ、自ら皮疹の悪化をもたらしている例もまれではありません。心理側面の治療も重要な要素となっています。


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10、なちゅれいゆでのアトピー性皮膚炎対応スキンケア

 なちゅれいゆでは、アトピー性皮膚炎はが多因子性の疾患であることから、できるだけ患者様のQOLをあげるため、原因除去と体質改善をしながら、自分でできるスキンケアを推奨しています。

 アトピー性皮膚炎では、皮膚病変の状態は季節や体調、ホルモンや自律神経のバランス、紫外線や汗など皮膚に接触する因子など様々なものに影響を受け、常に変化しています。
 
 身体の内面の問題では、免疫調整力をつけるための栄養療法や生活習慣の改善も必要です。

 さらに、これらの皮膚の経過を、じゅくじゅく期、炎症期、苔癬期、かさかさ期、色素沈着期、維持期などに分けて考えています。

 大切な事は、薬をほとんど使用しなくても、自分でスキンケアのコントロールをしながら、日常生活に支障なく、過ごすことができる日を増やし、心も身体も快適にいられることです。

 自分で、皮膚の状態をキャッチし、早めに手を打てるような状況を作っていただき、皮膚炎を悪化させないことを目標に置いています。
 
 これまでも、何人もの方が、このスキンケアを自分で習得し、その後の生活を快適に過ごしておられます。

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