石川 奈美 のワンポイント美肌養生アドバイス 
子供のアトピー性皮膚炎のスキンケア

1 アトピー性皮膚炎の問診(小児用)
2 アトピー性皮膚炎の好発部位(小児
3 ステロイド薬のランクと小児の薬物治療
4 タクロリムス軟膏の使用について
5 悪化因子について(食物アレルギーについて)
6 アナフィラキシーショックとは
7 日常生活の工夫について


1 アトピー性皮膚炎の問診(小児用)


日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎ガイドラインより引用 


日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎ガイドラインより引用 



日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎ガイドラインより引用


アトピー性皮膚炎かどうかの問診が、アトピー性皮膚炎ガイドラインに詳しく掲載されています。

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2 アトピー性皮膚炎の好発部位(小児)



乳児期 (2才未満)
・ 顔面や頭部にジュクジュクした赤い発疹(浸潤性紅斑)、盛り上がった
   発疹(丘疹)が出てくる
・ 頸、肘のくぼみ、膝のうら、手首や足首などの汗のたまりやすい部分が赤くなる
・ 耳切れ(耳たぶの下の亀裂性皮疹)がみられることもある

幼児期(2~12才)
・ 乳児期に比べて顔面の発疹が減り、首、肘や膝などの関節部、体の発疹が
   増え、皮膚の乾燥がはっきりと目立ってくる
・ 耳切れがみられることもある


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3 ステロイド外用薬のランクと小児の薬物治療

ステロイド外用薬の効果の高さと局所性の副作用の起こりやすさは一般的には並行するので、必要以上に強いステロイド外用薬を選択することなく、皮疹の重症度に見合ったランクの薬を適切に選択し、使用することが大切です。

乳幼児、小児は原則として皮疹の重症度が重症あるいは中程度では、表に示したよりも1ランク低いステロイド外用薬を使用します。ただし、効果が得られない場合は、十分な管理下で高いランクのステロイド外用薬を使用します。


日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎ガイドラインより引用 


日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎ガイドラインより引用 

また、身体の部位によって皮膚の厚さは異なり、吸収率もかなり異なる為、適切な使用が重要です。

ステロイド外用薬の剤型は、軟膏、クリーム、ローション、テープ剤など病変や部位などを考慮して選択します。

ステロイド外用薬の回数

急性増悪期は1日2回(朝、夕:入浴後)が原則、普段は1日1回外用が原則です。

ストロングクラス以上の、ステロイド外用剤では、1日2回と1日1回の塗布の間に3週間後以降の治療効果について有意差が無いために、外用回数が少なければ副作用も少ないことを考慮すると、急性増悪した皮疹には1日2回(朝、夕:入浴後)で早く軽快させ、軽快したら1日1回にするのがよいそうです。

ミディアムクラスでは、1日2回の方が有効な場合もあります。

ステロイド外用薬の副作用について
密封外用療法では0.12%ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏(ストロングクラス)の10gの外用、単純塗布ではその20gの外用が、副腎機能抑制を生じうる1日外用量であると報告されています。

しかし、多量の外用を日常診療で継続して行うことは極めて例外的です。

ステロイド外用薬は適切に使用すれば、副腎不全、糖尿病、満月様顔貌などの全身的副作用は起こり得ません。

局所的副作用としては、ステロイド痤瘡、ステロイド潮紅、皮膚萎縮、多毛、細菌・真菌・ウイルス性皮膚感染症などが時に生じます。
これは、中止あるいは適切な処置で回復します。

皮膚炎後の色素沈着は、皮膚炎の鎮静後の色素沈着で、ステロイド外用薬が原因ではありませんが、ステロイド外用薬によるアレルギー性接触性皮膚炎や基材、添加物による接触性皮膚炎にも注意が必要です。

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4 タクロリムス軟膏の使用について


タクロリムスはカルシニューリンを抑制する薬剤で、ステロイドホルモンとは異なった作用機序で炎症を抑制します。

タクロリムスには0.1%成人用と0.03%小児用があります。

タクロリムス軟膏は特に顔面、頸部の皮疹に対して高い適応のある薬剤として位置付けられています。しかし、びらんや潰瘍面には使用できません。

タクロリムス軟膏は副腎皮質ステロイドとは全く異なる機序でTリンパ球の機能を抑制します。

タクロリムス軟膏はステロイド外用薬では治療が困難であったアトピー性皮膚炎にも高い有効性を期待できるのですが、薬効は薬剤の吸収度に依存していて、塗布部位およびそのバリア機能の状態に大きく影響を受けます。

2歳未満の小児には安全性が確立していないため使用できません。

また、妊婦や授乳婦にも使用しません。

タクロリムスを用いる場合、1回塗布量が0.1%成人用では成人で5g、0.03%小児用では、2~5歳(20kg未満)では1g、6~12歳(20kg以上50kg未満)では2~4g、13歳以上(50kg以上)では5gを超えないようにとされています。

さらに1日の使用回数は2回までです。1回1gで掌4枚分の面積に外用できます。

広範囲の場合、皮疹の程度に合わせてステロイド外用薬と併用しますが、混合や重層は避けます。


タクロリムス外用薬の副作用
塗布部位に一過性の灼熱感、ほてり感などの刺激症状が現れる事があります。皮疹の改善に伴い消失することが多いです。

成人用の有効性は、ストロングクラスのステロイド外用薬とほぼ同等で、ステロイド外用薬による局所性副作用が認められる部位や、効果が不十分な場合に適応されます。

強力な薬効を必要とする重症の皮疹を生じた部位に使用する場合、原則としてまずベリーストロングクラス以上のステロイド外用薬により、皮疹の改善を図ったのちにタクロリムスに移行すると良いとされています。

本剤の血中への移行が高まり、また刺激性が強まる可能性が考えられる部位や皮疹、すなわち粘膜、外陰部、びらん、潰瘍面には使用しません。

魚鱗癬様紅皮症の患者では、経皮吸収が高く本剤の血中濃度が高くなり、腎障害の副作用が発現する可能性があるので、使用できません。

痤瘡、痤瘡様皮疹、酒さ様皮膚炎にも注意が必要です。

また、免疫抑制剤なので、皮膚感染症を誘発、増悪させる可能性もあります。

紫外線療法は禁忌で、過度の日光や不必要な紫外線を浴びないようにしましょう。

アトピー性皮膚炎に用いられる、その他の薬には次のようなものがあります。


日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎ガイドラインより引用 

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5 悪化因子について

乳児では、食物アレルゲンの関与が認められることがあります。

食物アレルギーについては、

「原因食物を摂取した後に免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状(皮膚、粘膜、消化器、呼吸器、アナフィラキシーなどが惹起される現象」と定義されており、

食中毒、毒性食物による反応、食物不耐症(仮性アレルゲン、酵素異常症など)は含まないとされています。

一般臨床的に頻度の高い食物は表の通りです。


食物アレルギーの診療の手引き2008 より引用 


食物アレルギーにより引き起こされる症状

★ 皮膚粘膜症状
 ・ 皮膚症状   :瘙痒感、じんましん、血管運動性浮腫、発赤、湿疹
 ・ 眼症状     :結膜充血・浮腫、瘙痒感、流涙、眼瞼浮腫
 ・ 口腔咽喉症状:口腔・口唇・舌の違和感・腫張、喉頭絞扼感、
                         喉頭浮腫、嗄声、喉の痒み、イガイガ感
★ 消化器症状
 ・ 腹痛、悪心、嘔吐、下痢、血便
★ 呼吸器症状
 ・ 上気道症状 : くしゃみ、鼻汁、鼻閉
 ・ 下気道症状 : 呼吸困難、咳嗽、喘鳴
★ 全身性症状
 ・ アナフラキシー           :多臓器の症状
 ・ アナフラキシーショック :頻脈、虚脱状態(ぐったり)・意識障害・血圧低下


乳児の食物アレルギーの多くはアトピー性皮膚炎を合併しています。スキンケアや薬物療法を先に行っても症状が改善しない場合に食物アレルギーの関与の有無を検討します。

また、乳児から幼児早期の即時型食物アレルギーの主な原因である鶏卵、乳製品、小麦の多くは、その後加齢とともに80~90%が耐性を獲得していきます。

学童~成人で新規に発症してくる即時型食物アレルギーの主な原因食物は、甲殻類、小麦、果物、魚類、そば、ピーナッツが多く、耐性の獲得の可能性は乳幼期発症に比べて低いとされています。

即時型食物アレルギーの最も頻度が高い症状は皮膚症状ですが、アナフィラキシーショックを呈する場合も多く、、注意が必要です。

食物アレルギーの診断について

疑われる原因食物、摂取時の症状と時間経過、発症年齢、乳児期の栄養方法、食習慣、環境因子、既往歴、アレルギー疾患の家族歴、服薬状況(成人におけるβ遮断薬や非ステロイド抗炎症薬(NSAID)などについて問診、食物日誌等の活用で症状と食物の因果関係を観察します。

行われる検査は

一般血液検査
血中抗原特異的IgE抗体検査
皮膚テスト
ヒスタミン遊離試験
食物除去試験
食物負荷試験

などです。

食物アレルギー診断のフローチャート
(食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎)


食物アレルギー診断のフローチャート(即時型症状)

食物アレルギーの診療の手引き2008 より引用

◆即時性症状
  原因食物摂取後、通常2時間以内に出現するアレルギー反応にいる症状を
    示すことが多い。
◆アナフィラキシー
  即時性アレルギー反応のひとつの総称で多臓器に症状が現れる。
     時にショック症状を引き起こす。
◆食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FEIAn/FDEIA)
  原因食物を摂取後、運動を行ったときにアナフィラキシーを起こす疾患。
◆口腔アレルギー症候群
  口腔粘膜における食物(果物・野菜)による接触じんましん。症状出現時間は
     5分以内のことが多くヶ分症・、ラテックスアレルギーに合併することが多い。
    (花粉症はシラカバ科、ハンノキ科、イネ科花粉症に多く、スギ花粉症には
      比較的少ない)


6 アナフィラキシーとは

食物、薬物、ハチ毒などが原因で起こる、即時型アレルギー反応のひとつの総称です。皮膚、呼吸器、消化器など多臓器に症状が現れます。
時に血圧低下などのショック症状を引き起こし、生命を脅かす危険な状態をアナフィラキシーショックと呼びます。

医療機関以外での食物アレルギー症状(アナフィラキシー)出現時の対応(プレホスピタルケア)

食物アレルギーの診療の手引き2008 より引用

アドレナリンの自己注射薬 エピペンについて

食物アレルギーの診療の手引き2008 より引用

アナフィラキシー発症時のフローチャート

食物アレルギーの診療の手引き2008 より引用

☆ 食物依存性運動誘発アレルギー

アレルギー誘発食物を摂取した後に、運動を行う事で症状が発症する場合があります。
これらの予防のために、原因食物摂取から2時間(可能なら4時間)運動は控える
原因食物を摂らなければ運動は可能である(必ずしも運動を全面禁止にする必要はない)

学校や保育園、幼稚園へ提出する指示書(診断書)について

食物除去の指示書(診断書)

学校におけるアレルギー疾患取り組みガイドライン参照




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6 日常生活について


入浴では

ベビー石鹸の中にも刺激が強いものがあるので、注意が必要です。スポンジやタオルで体をこすらず、手で丁寧に洗ってあげましょう。

一般の石鹸には通常香料や色素が含まれていて、皮膚刺激になります。
また、洗浄力が強く、皮脂を取りすぎる事もあるので、注意しましょう。

子供のうちは、リンスは使用しない方がベストです。リンスには一般に陽イオン界面活性剤が使用されており、刺激が強い事があります。リンスインシャンプーも同じです。

入浴剤は大変有効ですが、構成されている成分をよく確かめて使うようにしましょう。温泉タイプの炭酸ガスやイオンの入ったものは、皮膚を乾燥させるので注意しましょう。

入浴後、5分以内に保湿スキンケアを行うと、水分が蒸散せず、かゆみを防ぐことができます。

泡立ちの良い洗浄剤には、起泡剤が使われています。あまり泡立ちにこだわらなくてもよいでしょう。皮膚の刺激になることがあります。

○外出では

とにかく直射日光をさけ、刺激の少ない日焼け止めをこまめに塗るように
しましょう。日焼け止めは肌に合うものを使いましょう。

プールは上がったあと、汚れや塩素をしっかり洗い流しすぐにその場で保湿スキンケアするのが良いでしょう。

スキンケア用品は自分にあったものを使うのがおすすめです。

夏になると汗が皮膚を刺激してかゆみを起こします。汗は、黄色ブドウ球菌の増菌を促しますので、注意が必要です。
汗をかいたらできるだけ早く入浴やシャワーによって汗をこまめに取り除きましょう。

○その他

おむつかぶれはアトピー性皮膚炎の子供に起こりやすい症状です。
下痢の時は注意しましょう。おしりふきのアルコールにかぶれる事もありますので、含まれていないものを選ぶようにしましょう。
できればぬるま湯で洗い流すのが一番です。

おむつの材料や取り替えが少ないためにかぶれることもあります。
布おむつの場合は刺激が少ない洗剤を使って洗いましょう。


大人のストレスと同様、小児においても、愛情の欲求が満たされない不満から同様に掻破行動がみられることもあります。ゆったりとした気持ちも大切です。

なちゅれいゆ、ナカヨシ薬局では、乳児湿疹のスキンケア、乳児幼児のアトピー性皮膚炎についてのご相談も承っております。お気軽にご相談ください。

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 参考文献 日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎ガイドライン 

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